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史学雑誌の回顧と展望に
投稿者:
後藤彰信
投稿日:2007年 6月23日(土)17時28分26秒
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『史学雑誌』の「2006年の歴史学界 −回顧と展望−」に、雑誌の19号が取り上げられていましたので、関連部分を掲出します。筆者は、今井修氏(津田左右吉研究)です。
(思潮と宗教) 日露前後から大正デモクラシー期をはじめ、思潮
と宗教、その交錯をめぐる研究が目立った。まず『初期社会主義
研究』一九号は 『新紀元』 の特集を初めて組んで、「社会主義と
基督教」をテーマに、木下尚江・安部磯雄・徳富健次郎・田中正
造・石川三四郎らの『新紀元』との関わりを掘り下げた九本の論
説で構成されている。なかでも山泉進「安部磯雄の『新紀元』時
代」は誌上において独自の地位を占める安部の独占事業論とトラ
スト論を中心に詳論し、後藤彰信「石川三四郎の神観念と統合原
理の模索」は一九三〇年代の社会哲学の構想までを視野にいれて、
石川における「佃の変革と社会の変革の同時遂行を可能ならしめ
る原理」の模索と探究を段階的に分析し、その一貫性を指摘して
いる。同「石川三四郎の思想形成と伝統思想」(『近代日本文化の再
発見』)では、前提として『虚無の霊光』にみられる思想的達成
までを詳述し、石川の「問題提起の孤立牲」を浮きぼりにする。
なお、初期社会主義研究はじめ日本共産主義運動史研究最近一〇
年の傾向を田中真人「民主主義・平和主義・社会主義」(『史林』
八九−一) がスケッチしている。長尾宗典「柿崎正治と雑誌 『時
代思潮』」(『メディア史研究』二〇)も『時代思潮』主筆時代の柿崎
の言論活動の変化を、「個人の宗教的意識の自覚」 の重視から日
露戦後社会状況の動揺に際会しての「普遍的実在の自覚」の強調、
伝統や歴史への絶対的「服従」 への「転回」として跡づけて、
「ロマンティシズム」 の変容をそこにみている。吉野作造につい
ては、吉野作造記念館一〇年の地道な関係資料調査の成果を反映
させての最新の評伝が、田澤晴子 『富野作造』 (ミネルヴァ書房)
として刊行された。「民本主義」 の主張とともにキリスト教への
入信から生涯を通しての社会事業や文化活動の多面的展開をきめ
細かく書きこむことに力点がおかれている。「2006年の歴史学界
−回顧と展望−」『史学雑誌』116−5p.175
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